Netflixでの解析手法とUS動画事情
『サイトサーチアナリティクス』の第4章に出てくるNetflixの事例について補足します。
Netflixは、インターネット上でのオンデマンド動画配信と、米国のみ宅配DVDレンタルサービスを提供する会社です。最近はRedboxに押され気味ですが、設立1997年、従業員数2348人(2011年)、売上32億ドル(FY2011)を誇り、最も成功したドットコム企業の一つ、とされています。有料会員は2700万人もいて、米国では「○○はもう見た?」「Netflixにある?」などと普通に会話に出てくる人気のサービスです。
オンラインの有料動画視聴サービスはいくつかありますが、以下のように特徴が明確なので、棲み分けができているようです。私も全部利用しています。
Netflix (Wikipedia)
月額7.99ドルで見放題、B級や旧作が中心だがタイトル数が多いので暇つぶしに最適。iPadでも英語字幕を表示できるのが日本人にはうれしい。
Amazon Instant Video
B級や旧作が中心で、タイトルが9725本(見放題対象のみ)と少ない。Amazon Premierのおまけ的な位置づけなので、これ目当てで年会費79ドルを払うのは割高感がある。
Hulu (Wikipedia)
ドラマが中心。見逃した最新エピソードの視聴に最適。月額7.99ドルの有料会員になれば対象タイトルが増え、iPadやKindle Fireでも視聴可能。
iTunes
最新作が多いが、有効期限付きのレンタルと購入のどちらかの方法で個別に支払う必要がある。単価も高い。
Redbox (Wikipedia)
スーパーやドラッグストア、コンビニにキオスク端末(自動販売機みたいなもの)を設置するタイプの無店舗型DVDレンタル。
なお、動画系サービスのほとんどは、日本からは利用できません(日本のiTunesやHuluは日本向けの限定コンテンツのみが提供されていて、単価も高い)。充実した動画配信ビジネスを切り開き、地位を確立してきたNetflixの成長を実はWeb解析が支えていたと知ると、SSAでの事例の受け止め方が変わるのではないでしょうか。
事例の図版
SSAでの事例について、簡単に紹介しておきます。以下が、図4.10。一番右側の列がサイト内検索で使われたクエリで、作品名ごとに分類・抽出されています。
- Query Count:検索回数
- MDP View:クリックして動画詳細ページまで進んだ回数
- MDP View per Query:検索あたりのMDP View
- Queue Adds:視聴リストへ追加された数
- Queue Adds per Query:検索あたりのQueue Adds
つまり、サイト内検索を使った後に、詳細ページ確認、リスト追加、という二つの二次的なコンバージョンを計測することで、作品別のパフォーマンスを多面的に分析できるようにしています。
コンバージョンといえば「購入」「資料請求」「送信完了」と単純に考えてしまいがちですが、ユーザーのために提供しているいろいろな機能が使われているかどうかを調べることは重要ですね。いろいろな業界やサイトで応用が可能な考え方です。
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